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東電の株主総会に注目 門多 丈

2011年04月08日
株主総会がどうなるかが気になる。会計監査人は決算の財務諸表に限定(適正)意見をどうつけるか、事業報告での 経営責任の説明の問題がある。海外の投資家の追及は厳しく、アセットマネージャーも受託責任の点から問題を曖昧にできない。
今週は香港に出張した。震災についてはさまざまな慰めや激励をもらったが、プライベート・エクィティ投資ファンドの関係の会議に出たこともあり、話題は原発・放射能の問題より円安の行方や日本からの半導体製造設備の出荷が遅れないかなどの質問を多く受けた。

東電の株価の暴落は不気味だ、経営陣の混乱ぶりも含めてリーマンの最後を連想させる。

東電の経営陣のリスク管理の考え方は間違っている。先日勝俣会長が記者会見で「最大限の過去の発生地震を設計基準に入れ対応を図ったつもり」と話したという。リスク管理はその想定を超えて、海水が(防波堤を越えて)浸入してきた時に、どうするかの対策の問題である。非常用の電源の安易な設置、放射能防護服や災害ロボットの不備の責任は大きい。

経営責任についての逃げ腰も看過できない。原子炉への海水の注入には東電の経営陣は最後まで抵抗し、「株主代表訴訟とならないように」政府の指示で行う形としたという話も聞くが、真偽の検証が必要だろう。

株主総会がどうなるかも大いに気になる。そもそも3月決算をどう行うのか、 会計監査人は決算の財務諸表に限定(適正)意見をどうつけるか、事業報告での 経営責任の表記など招集通知の作成自体が大問題となろう。総会ではリスク管理などの事故の責任、損害賠償の考え、について徹底的に議論されるべきであろう。社会的責任、調査・第三者委員会での検討の報告なども明らかにされるべきである。とくに海外の投資家の追及は厳しく、アセットマネージャーも受託責任の点から問題を曖昧にできない。

東電の社外取締役、社外監査役の責任についても明確な釈明が求められることとなろう。

(文責:門多 丈)

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