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ウォーカー・レビュー(最終回)報酬 安田 正敏

米国のサブプライム・ローンを発端とする今回の金融危機における欧米の巨大金融機関のコーポレートガバナンスにおいて、ちょうど、りっぱな安全装置(リスクマネジメント)のついた高級車を酔っ払いが運転するというような事態が生じました。その重要な原因のひとつは、取締役、高級幹部の、一般の人の想像を絶する巨額の報酬が極度の業績連動の仕組みになっていたことです。その弊害を正すためにウォーカー・レビューが提言する主要な施策についてみて見ます。

ウォーカー・レビュー(4)リスクマネジメント  安田 正敏

ウォーカー・レビューのリスクマネジメントの分野での提言は、組織論に終始しており、そのような施策で今回のような金融危機を効果的に防げるかどうかという点については極めて疑問です。リスクマネジメントに関する施策については、金融機関の業績についてリスク要因をどのように反映させ、リスク調整済業績をどのように評価するかという点が最も重要であると思います。

ウォーカー・レビュー(3)機関投資家の役割 安田 正敏

機関投資家による投資先企業への積極的関与に関する提言は、日本から見ても二つの点で参考になります。一つは、日本企業に投資している英国の機関投資家が、日本企業に対しても同じ考え方をもって接してくるという点です。もう一つの点は、ウォーカー・レビュー、ISCが、英国企業に投資する日本の機関投資家を含む国外の機関投資家にも同様の役割を期待している点です。この点をふまえて、主要な論点を紹介します。

民主党の公開会社法案について 門多 丈

法制審議会に公開会社法が諮問されることとなった。議論の叩き台は民主党の公開会社法案になると予想される。この案での社外取締役の独立性を高める論点は評価できるが、従業員代表監査役制度の導入の考えについては異論がある。

ウォーカー・レビュー(2)取締役会の機能と役割 安田 正敏

ウォーカー・レビュー最終報告書を大枠で括ると、取締役会の機能と役割、機関投資家の役割、リスク・マネジメント、報酬の4つの分野になります。今回は取締役の機能と役割の分野を紹介しますが、注目する点は、非業務執行取締役(日本の社外取締役に相当)の役割の強化と取締役会の実績について2年か3年に一度、外部評価を行うと提言している点だと思います。

ドラッカーの企業統治論 門多 丈

ドラッカーは「企業の目的は利益と決めつけるな。利益以外の目的を掲げチェックを怠るな」と言う。企業統治について示唆に富む考えである。社外取締役や社外監査役の監視に関しては長期的な企業価値向上と企業のサステナビリティ(継続性、長期的健全性)の観点をこれに明確に加えるべきと思う。

英国銀行業界のコーポレートガバナンスの見直し、ウォーカー・レビューについて(1) 安田 正敏

昨2009年の11月26日に、英国政府によって発表された英国の銀行業界のコーポレートガバナンスの見直しの最終提案書(提案者の名前をとってウォーカー・レビューと呼びます)の重要な点は、定められた手続に取締役会が忠実に従うというだけでは、よりよいコーポレートガバナンスは期待できないとした上で、(主要なステイクホルダーの)行動の変化が要求されることを強調している点です。この提案書は、銀行のコーポレートガバナンスだけでなく一般企業のコーポレートガバナンスを考えるうえでも参考になると思いますので、今後、何回かに分けて主要な論点を紹介していきたいと思います。
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一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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