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コーポレートガバナンス格付(2) 安田 正敏

前回、米国のコーポレートガバナンス格付を行っている主要4社を紹介しましたが、今回はそれぞれの格付の特徴を、①格付の対象となる企業と情報収集の方法、②格付の切り口の2つの点について整理してみます。

コーポレートガバナンス格付について(1) 安田 正敏

近年、米国においてはコーポレートガバナンス格付というサービスが機関投資家の投資基準や議決権行使において近年重要な役割を果たすようになってきおります。数回にわたってコーポレートガバナンス格付の状況とそれに対する批判をとりあげてみたいと思います。

経営者報酬に対する規制の再整理 安田 正敏

一般的事業会社の経営者報酬の規制の中心となる視点は投資家保護であり、経営者の報酬の合理性を株主に説明することの重要性です。一方で金融機関の場合は、金融システムという社会インフラの安全性の問題に強く結びつきます。特に巨大な金融機関が破綻した場合、経営者と株主が蒙る損害と納税者の負担の非対称性が極めて大きくなります。ここに金融監督機関による経営者報酬について、特にリスク管理の視点からの規制が必要となる理由があります。

失敗が肥やしにならない企業社会 安田 正敏

日本企業の業績低迷の根幹的原因は、現在の日本の企業社会の特質、失敗が肥やしにならない企業社会にあるのではないでしょうか。この状況を打破する権限をもっているのは経営者しかいません。その自覚をもってその難しい仕事に経営者が取り組んでいるかどうかを監視し、忠告することが社外取締役の重要な役割のひとつでしょう。コーポレートガバナンスにおいて真の意味での独立した社外取締役の重要性はここにあります。

ソックス(SOX)を脱いだ裸足の銀行 安田 正敏

米国の巨大銀行、バンック・オブ・アメリカ(BoA)とシティー・グループ(Citi)がレポ取引による負債を隠蔽していたということが報道されています。こような重大な過ちが米国の巨大銀行の会計プロセスにおいて3年間にわたって見過ごされていたとすれば、米国のSOX法って一体何だったのかという驚きを感ぜずにはいられません。米国の銀行はいつのまにソックス(SOX)を脱いで(あるいは最初から履いていなかったのか?)裸足でガラスのかけらの上を歩き始めたのでしょうか?

ゴールドマンサックス(GS)の年次株主総会 安田 正敏

GSの2010年の年次株主総会が5月7日に開催されました。この結果を見て驚いたことは、GSの株主は、金融危機以降、金融機関のコーポレートガバナンスの慣行に対して主要国の政府や規制機関が見直しを迫っている点について全く関心を払っていないということです。

電子メールをとおして見る米国金融業界の歪み 安田 正敏

ゴールドマンサックス(GS)の詐欺容疑をめぐる米国証券取引委員会(SEC)の民事提訴や米国議会での公聴会での証拠として電子メールのやり取りが米国金融業界の歪みを生々しく伝えています。

ゴールドマンサックスのガバナンスは機能しているのか?  安田 正敏

マスコミの情報だけからは、GSが一方的に詐欺を働いたということは断定できませんが、全般的な状況証拠からするとGSに不利に見えます。GSの企業原則が、「最も修復が難しい」として重要視している名声が傷ついているとき、GSの12人の取締役のうちの10名の社外取締役たちは何をしているのでしょうか。外部から見て、彼らのガバナンスが機能しているとはとても思えません。

業績よければすべて良し? 安田 正敏

コーポレートガバナンスが有効に機能していなくても、経済環境や会社を取り巻くその他の環境が有利に働くことで会社の業績は向上していくことはありえます。しかし、コーポレートガバナンスが不全であると、最近のトヨタの例が示すように会社の業績を長期間にわたって維持していくことは困難になります。

コーポレート・ガバナンスを強化するための諸原則(バーゼル銀行監督委員会)につい 安田 正敏

国際的に活動する銀行を監督するバーゼル銀行監督委員会が、3月16日に「コーポレート・ガバナンスを強化するための諸原則」を公表し、市中協議に付しました。ここに述べられている諸原則は一見かなり一般的なものであり、報酬に関する原則を除けば欧米の銀行も金融危機の前から制度として取り入れていたものであると思います。むしろ、問題はこれらの原則がなぜ機能しなかったのか、それを機能させるにはどうすればいいのかという点を読み解くことだと思います。

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一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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