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ウォーカー・レビュー(3)機関投資家の役割 安田 正敏

機関投資家による投資先企業への積極的関与に関する提言は、日本から見ても二つの点で参考になります。一つは、日本企業に投資している英国の機関投資家が、日本企業に対しても同じ考え方をもって接してくるという点です。もう一つの点は、ウォーカー・レビュー、ISCが、英国企業に投資する日本の機関投資家を含む国外の機関投資家にも同様の役割を期待している点です。この点をふまえて、主要な論点を紹介します。

ウォーカー・レビュー(2)取締役会の機能と役割 安田 正敏

ウォーカー・レビュー最終報告書を大枠で括ると、取締役会の機能と役割、機関投資家の役割、リスク・マネジメント、報酬の4つの分野になります。今回は取締役の機能と役割の分野を紹介しますが、注目する点は、非業務執行取締役(日本の社外取締役に相当)の役割の強化と取締役会の実績について2年か3年に一度、外部評価を行うと提言している点だと思います。

英国銀行業界のコーポレートガバナンスの見直し、ウォーカー・レビューについて(1) 安田 正敏

昨2009年の11月26日に、英国政府によって発表された英国の銀行業界のコーポレートガバナンスの見直しの最終提案書(提案者の名前をとってウォーカー・レビューと呼びます)の重要な点は、定められた手続に取締役会が忠実に従うというだけでは、よりよいコーポレートガバナンスは期待できないとした上で、(主要なステイクホルダーの)行動の変化が要求されることを強調している点です。この提案書は、銀行のコーポレートガバナンスだけでなく一般企業のコーポレートガバナンスを考えるうえでも参考になると思いますので、今後、何回かに分けて主要な論点を紹介していきたいと思います。

英国のコーポレートガバナンスを巡る最近の動き 安田 正敏

金融危機を契機に英国もコーポレートガバナンスの見直しに動いています。これには3つの流れがあります。機関投資家サイド、銀行業、上場企業についての見直しです。3つめのの上場企業のコーポレートガバナンスについては、取締役の継承計画が不十分なことが投資家サイドから批判されています。この論点は、日本ではコーポレートガバナンスの議論のなかで議論されていません。しかし、注目に値する論点だと思います。

IFRSの公正価値概念とコーポレートガバナンス 安田 正敏

IFRSの時価評価主義の中心的概念が公正価値(Fair Value)ですが、この公正価値を求めるプロセスにおいては、企業経営者、あるいは財務報告作成者の裁量判断が入り込む余地が、従来の財務報告作成プロセスと比較して、格段に大きくなります。この問題を、コーポレートガバナンスの観点から見ると、そのような裁量的判断の基準が、第三者から見て、公正で合理的なものであることが担保されているかどうかということが重要になります。

JR西日本だけの問題なのか? 安田 正敏

JR西日本のような経営体質(統制環境)がつくられたとき、企業内部の枠組みのなかだけで、絶対的な権力者にブレーキをかけることを期待することは無理があります。ここに、本当の意味で独立した社外の目が絶対的に必要になります。社外取締役あるいは社外監査役の議論はこの視点を抜きにしては語れません。「事業の内容の分からない社外の人間に取締役が務まるはずもない。」という議論は、この問題を矮小化した瑣末な議論といわざるを得ません。

日本航空問題はガバナンスの機能不全に 安田 正敏

決算短信では「継続企業の前提に重大な疑義を生じさせる状況が存在する」という注記を付けざるを得なくなりました。難しい言い回しをしていますが、要するに「日本航空という飛行機は墜落寸前です」ということでしょう。この問題の大きな原因のひとつがコーポレートガバナンスの機能不全ではないでしょうか。

J-SOX内部統制、1年目の結果は? 安田 正敏

金融商品取引法による財務報告に係る内部統制報告制度(いわゆるJ-SOX法)について、初年度適用企業に対する東証の調査結果は、「内部統制の構築は、企業の業務プロセスの見直しと改善につながる」という結果を示しています。しかし、その効果を認める企業と認めない企業の差はどこでついたのでしょうか?

「白鯨」とコーポレートガバナンス(2) 安田 正敏

「(中略)ただ一人の船長がピークォド号を主宰する。―出てうせろ。」・・・この言葉は、まさに、「会社は誰のものか?」という論点をついています。

「白鯨」とコーポレートガバナンス(1) 安田 正敏

「白鯨」とコーポレートガバナンスとどんな関係があるのだ、と思われるかもしれませんが、この物語は、コーポレートガバナンス問題の原型を示しています。
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一般社団法人実践コーポレートガバナンス研究会

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